5段階による経営基盤構築方法
■物づくりに技術があるように経営にも技術がある
外部環境の影響をもろに受ける中小企業は経営の技術を構築しなければ
『社長のやる気=頑張リズムだけ』では続かない。
つまり、思い付きの経営から脱皮し、利益を叩き出していく為のルールと基準
そしてシステムを創る事が経営の技術である。
経営にはあるべき姿や目標とすべき姿がありますが、
あるべき姿や目標だけ見ていると上手くいかない事もあります。
脚下照顧という言葉があり、『いくら理想ばかり唱えても、足元の事が出来なければ話にならない』という意味です。
どうしても、あるべき姿だけを見ると足元の事がおろそかになり、経営の基盤づくりの作り方も同じです。
■戦略的経営と戦術的経営
経営の基盤づくりには、戦略的経営と戦術的経営の2つの視点が必要である。
戦略的経営は、将来の意思決定に力点を置くスタイルで、「会社の進むべき方向を決める」経営である。
戦術的経営は結果(業績)に力点を置くスタイルで、「決められたレールをキチンと走ろう」とする経営である。
観点を変えると戦略的経営とは開発・改革であり、戦術的経営とは改善・改良・強化、意識・実践定着である。
視野で観ると戦略的経営とは1年~3年、戦術的経営とは3ヶ月単位が基本で単月・週間・毎日を押える。
このように2つの経営スタイルは違う。戦略的経営と戦術的経営は経営基盤づくりの構築に、大いに関係する。
■理論と現実
経営学者が唱える経営基本管理の理論では『戦略があるから、戦術・戦闘が生まれる』としている。
しかし、私の経験測から観ると『戦術・戦闘が出来るようになるから、戦略の効果が出てくる』が本質である。
いくら戦略という『灯り』をともしても、歩き方がわからない集団は好き勝手に彷徨う。
反面、戦術・戦闘という『戦う事前準備の躾づくり』が出来ても、行く先を示さなければ、道に迷う。
『戦略はあるが戦術・戦闘がない会社』と『戦術・戦闘はあるが、戦略がない会社』では後者の方が業績がよい。
つまり、あるべき姿から基盤づくりを行うと、ほとんど上手くいかない。
その方法は中堅・大企業のやり方である。経営機能が削除されている中小企業では専門部署は少ない。
総務機能にしても経理機能と合体状態で『総務・経理部門』であるし、
営業部門にマーケテイング機能をもつ中小企業はなかなかお目にかかれない。
つまり、現実的に出来る為には何からやるべきかの本質を押えるべきである。
■経営の技術に高級も低級もない
経営の技術に高級・低級はないが、難易度はある。
基盤が脆弱な中小企業、
当たり前の事が当たり前のように出来ない中小企業にあるべき姿を押し付けても、
拒絶反応が来るだけである。
好転反応であればよいが、社員の視線・態度は『何か、やらされる』と完全に拒絶反応状態である。
難しい事から先にやると会社はおかしくなる。
やはり『読み・書き・ソロバン』である。これが出来ないのに因数分解もない
■生活習慣病を直すのと同じ
中小企業の経営者は短気である。
経営基盤を3ヵ月・6ヶ月でつくりたいと願うし、その気持ちもわからない事はない。
しかし考えていただきたい。
創業して20・30年と時間をかけても、経営基盤が出来なかった『会社という生き物』が
3ヵ月・6ヶ月で経営基盤が出来るわけはない。
昨今は生活習慣病対策が盛んである。生活習慣病は短期間ではならない。
体に負担をかけるよくない習慣を時間をかけて行ってきたから生活習慣病になる。
だから改善するのも一丁一旦では進まない。経営の基盤づくりも同じである。
重要な事は社長と社員と会社の心を一つにする事である。
社長はどうして経営基盤をつくりたいのか?
経営基盤をつくれば社員の恩恵は何があるのか?
そして会社には何をもたらすのか?を考えねばならない。
これが法人に息吹を入れる事になる。意志ある所に道ありである。
当たり前の事を出来るようにし、価値観の違う人間動物園集団を同じ価値感にまとめ、
一つの方向性に向かせ、社員・会社のレベルを上げさせる基盤づくりは最低1年は時間を要するのである。
■経営者の飽きず・空かず・諦めずの3ずの執念
経営基盤のつくり方は先ずは体を総点検する
人間ドッグと同じように会社の中を総点検する企業診断から進める。
これは会社の骨格・基盤・仕組みを中心に人・物・金・管理の経営要素と
経営部門・営業部門等の経営機能の状態を確認する為に問診したり、レントゲンを撮ったり、
CTスキャナーを行う事である。
次に人間ドッグで出てくる処方箋に基づいて、
その会社に応じた経営基盤づくりのご協力に入るのである。
いわば、治療である。
経営基盤を構築する際のやり方は5段階あります
■1段階
1段階は『中小企業に最低必要な基盤の基礎打ち作業』として
組織として戦う事前準備の躾づくりと組織に灯りをともす事である。
■2段階
2段階は『組織の基盤運営に必要なルールと基準づくり』で、
カン・経験・度胸のみに頼らない会社の共通語づくりである。
■3段階
3段階は『組織をルール・基準とシステムで動かす人財づくり』で、
実際に経営基盤を動かす為に必要な人の問題である。
■4段階
そして4段階は『組織の明日の種をつくる商材づくり』である。
これはこれからの武器を作り上げる事である。
■5段階
そして最後の5段階は『組織としての戦い方を決める』事である。
継続して栄える為の利益・金づくりとなる。
つまり、会社の総点検の企業診断から始めて、
治療の5段階である基盤を磐石にする仕上げまでを行うのである。
費用もそれなりにかかるが、考え方として創業して30年の会社なら、
総費用を30年で割ると1年当りの費用が出る。
これを1年当りの経営基盤構築の置き忘れ費用として考えれば、
価値観としてソロバンを合わせる事はできると思う。
経営基盤づくりは一定時間をかけ構築する為に、
この事が重要であると認識を持って頂いて取組む経営者しか経営の基盤づくりには向かないのである。
何故なら、経営者の飽きず・空かず・諦めずの3ずの執念が求められるからである。
しかし、企業規模に応じた経営基盤が磐石になると会社は必ず成長していく。