経営基盤の土壌を肥やす視点
■経営基盤とは
経営基盤とは、木で例えると土壌である。
この目に見えない部分がしっかりしていないと木は成長しない。
仮に大きな木の幹・葉をつけていても根っこが腐り始めると倒れる。
企業規模に対応する経営基盤を構築する事を『企業基盤のインフラ整備』と呼んでいる。
通信・下水・水道・電気のインフラがあるから、日常生活ができる。
そして環境変化に伴い、そのインフラも形を変える。
経営基盤とは会社が継続して栄える為の『人材基盤』・『商品基盤』・『財務基盤』・『管理基盤』・『顧客基盤』・『機能基盤』・『風土基盤』である。
これを企業規模の変化に応じ、構築する事である。しかし、一丁一旦では出来上がらない。
基盤を構築し、定着させる為には土壌を肥やす環境が必要である。
その環境とは ①公開経営 ②全社員参画経営 ③一体感をベースにしたものである。
図表 企業基盤のインフラ整備体系をご覧頂きたい。
ビルの階層が企業規模毎になっている。これは階層毎に打つべき手が異なる事を意味する。
そしてビルを支える基礎部分の要が①公開経営 ②全社員参画経営 ③一体感である。
そして企業基盤のインフラを整備する方法として
『企業の仕組みを創る経営形態3原則』・『企業の生命を創る経営生態3原則』・『企業の成長を創る経営動態3原則』がある。この3原則をマイスター式経営3態原則と呼んでいる。
つまり、土壌を豊かに肥やす潤滑材が
①公開経営 ②全社員参画経営 ③一体感である。
これがないと基盤だけを創ろうとしても、運営が上手くいかない。
経営機能が不十分の中小企業では常に運営面を考えて、仕組みを考えないと上手くいかない
■公開経営
何故、公開経営が必要なのか?
それは『経営は環境適応業』であるからだ。
環境適応とは少子高齢化の人口構造になれば、シルバービジネスが発展成長するし、
地球温暖化対策が必要になっている現在は環境・エネルギービジネスが成長する。
この様に私達を取り囲む環境が変化すれば、
それに順応していくのが、人間であり、社会であり会社である。
スマホ・PC・SNSを活用しない人はいないだろう。
つまり、現在の社会生活は公開社会を基盤として生活を営んでいる。
文明開化が起これば武士がちょんまげを切り、理容業界が発展した。
この10年で高度な情報公開社会に様変わりした。
それに順応するように一個人では、この情報公開社会に対応し、生活を楽しんでいる。
反面、24時間の中で多くの時間を費やす『会社生活』で最低必要な情報が公開されないと
社員が会社に対して『?』を抱くのは普通の感覚である。
つまり、公開経営に踏み切れない会社は社員からリストラされると認識していただきたい。
しかし『公開経営』と『ヌーデイスト経営』は違う。
見せなくて良い部分は見せなくとも良い。これがバランスである。
特に経営数値に関しては理解が出来ないテーマを見せても、
いたずらに混乱を招くだけであるし、誤解の元である。
■全社員参画型経営
参画とは自ら考え、行動し、責任を取る事である。
バラバラ集団の組織を統一し、強化する為には全社員に『目的・目標の共有化』を図ると同時に
どのように進めるかの『具体的計画の立案』とその方法を理解し・出来るようになる『周知徹底』が必要である。
中小企業の組織階層は経営者・役員・部門長・中堅幹部・中堅社員・社員の構成となる。
特徴として、社長と社員間にはギャップが有りすぎるし、経営陣といえども差がありすぎる。
勿論、給与を支払う側ともらう側では一致は絶対しないが、差が有りすぎるのである。
だから、経営者が何でも自分1人でやろうとするから、
『色々な経営施策の仏を彫っても、魂が入らず』状態になる。
魂が入らないから、経営者が一人で苦労する悪循環に陥る。経営者が出来る事はわかっている。
しかし、経営者1人では成果に結びつかない経営施策は山ほどある。目的・目標は全社員が同じである。
しかし夫々の役割は違う。役割が違うから、『自分の部門・自分』は今、
何を成すべきかを考えないと経営者への依存度が高まるばかりである。
そうなると会社を『社長の会社』としか見ない。
自部門・自分の役割を全員が『我が事』として考えるから、そこには成果への執着が生まれる。
そして達成した時の喜びが体感できるのである。
体感度を強く感じる事ができる会社は『幸せを創れる企業』である。
■一体感経営
中小企業の成長要因を一つだけ挙げるならば『一体感』である。
日本の経済を支える中小企業の一体感を研究した国がある。それはアメリカである。
1980年代のアメリカは日本企業の攻勢にあいながらも徹底的に日本企業の持つ強みを研究した。
その強みの源泉として『一体感としての求心力』と『チーム力』といった目に見えないものが挙げられた。
そして強い関心が高まり、戦略・経営の仕組み等の目に見える部分と経営理念・組織力等の目に
見えない部分の両輪が研究され、その重要性が問われた。
中小企業の経営には『ルール・規則はその通りだが、フイーリングが合わない現象』が幾多とある。
会社の成長軌道の安定期までは経営者が現場に出て、先導者として朝は早くから、夜遅くまで一身腐乱に働く。
その姿に引きずられ、社員も同じように働く。
そこには『残業が云々』・『休日出勤が云々』という世界はほとんどない。
お役所からはお咎めがくるかもしれないが、
当事者達は『自分が好きで働いているので、ほっといてくれ』と思っている。
これは『自分がこの会社を支えている』充実感で満たされているから、働き人としては幸せである。
一体感のつくり方は時代によって、経営者のキャラクター、会社の体質によって色々あるが、
触れ合いを通じ、個々の人間性を認めあい、成果を共に喜び、悔しがる関係がベースである。