小商人社員不信病になっていた社長・・・
■成長の歪
会社の成長スピードは人の成長スピードより確実に早い。
その現象から発生する問題点は、会社が成長していく過程において激痛を伴う副作用として、会社に歪をもたらす。
その代表的な例として社長の経営者への脱皮がある。
■だらしない習慣
あるA社は環境関連の設備開発・設置業で近年成長軌道にのり、従業員数も30名を超え、後継者へのバトンタッチを視野にいれた会社である。設備開発・設置業の仕事は、発注された仕様に応じて機械を製作・設置して、定期的にメンテナンスを行う仕事である。
メンテナンスで交換した使用済み機材はユーザーより引き受けて、廃棄処理する。しかし、社長は機材を廃棄せず、いつか使う時があると全ての残機材を在庫として保管している。
表面上はリユースとしての活用だが、現実は廃棄物置場を増大させ,在庫置場のスペースを狭くして適正な在庫管理ができない状況になっていた。見かねた担当者が産廃として、ごみ置場に捨てると社長はごみ置場から拾い出し、在庫置場に戻す。
多くの従業員も社長に習い、残資材の整理整頓をしなくなり、在庫回転率は慢性的に悪化状態。勿論リユースの活用もほとんどない。
しかし、社長は利益率向上を目指し、社員には在庫を減らせ、効率を上げろと原価管理を導入しようとするが、
●原価管理会議に担当部長が現場優先で欠席するのが当たり前
●旅費・小口資材の清算が6ヶ月遅れ等
原価管理をできるレベル迄には、到底たどりつかない。
小商人社員不信病になっていた社長は細かい仕事まで自分でやりたがり、届いた請求書の封を開けるのも社長の仕事。そして関係部署に渡る仕組みになっているが、社長が不在時にはこの業務はストップしてしまう。
段々と従業員は自分たちが信用されていないことを敏感に感じ始め、『何でも社長がやればいいじゃないか』と腹の中では思いはじめた。
■意志薄弱
さすがに社長も『このままではマズイ』と感じ、会社改革の計画を全員で作り発表会を実施した。しかし、いざ実践に移す段階になると自分は知らないと言い出し、決まった計画を1週間で反故にしてしまった。
やる気のある社員は在庫回転を良くし、利益を出そうと前向きになっていたが、この会社の本質を見せつけられ一気にモラルダウンしてしまった。
社長のリストラは社員が社長の能力・本質を見透かした時から始まる。
ご参考にしてください。
以上
マイスター・コンサルタンツ株式会社
代表主席コンサルタント 小池浩二