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2014年6月16日 中小企業社長の人生は仕事一筋一代記



中小企業社長の人生は仕事一筋一代記である。

「60歳になったら、引退して自分のやりたい事をやる」と何人の経営者から聞いただろうか?しかし、現実はそうはいかない事が多い。

これも経営者という選ばれし人の宿命かもしれない。

ある社長は創業40年、年齢65歳から急激に成長された。中学卒業後、東北地方から上京され、丁稚奉公に入り、仕事を覚え、奥さんと独立した。

食肉の特殊加工という肉体的にハードで、加工する際にきつい臭いを出す仕事をこなされた。

時には社員にだまされ、近隣の住民から【臭い】と苦情を言われ続け、少しでも理解してもらおうと、朝早くから工場近隣の清掃を何十年と黙々やり続けた。

普段は寡黙な社長だけに、その姿で社員は社長の思いを理解していた。

業績が苦しくて賞与が出せない時には社員から「利益を出せる会社にしましょう」と励まされた。

ある賞与が出せない時に、社長に相談され、会社の基盤づくりのお手伝いをさせてもらうようになった。

幹部の大半が中卒であった。しかしよく働く素直な人たちであった。

みんな馴れない経営基盤づくりに悪戦苦闘しながら、挑戦された。

そして、創業し、40年かかったが、基盤が出来始めてからの急成長。

社長の粘りと信念と先見性で現在では地域にとってなくてはならない環境分野先端企業に成長された。

この社長は社員に夢を語っている。本当に楽しそうに話をされる。

経営者人生を締めくくる晩節に成長している事は本当に素晴らしい事だと思うし、中小企業経営者の冥利に尽きる一幕である。

 
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