T.当たり前の事が出来ない中小企業

《1.経営は継続して栄える事である。》
経営の第一義は継続して栄える事である。
物づくりに技術があるように経営にも技術がある。
外部環境の影響をもろに受ける中小企業は経営の技術を構築しなければ『社長のやる気=頑張リズムだけ』では続かない。つまり、思い付きの経営から脱皮し、利益を叩き出していくいく為のルールと基準そしてシステムを創る事が経営の技術である。

その為には奇策はない。やるべき事をキチンとやる事の繰り返しが会社を強くする。
このやるべき事の環境づくりが経営基盤である。
中小企業は人なし・物なし・金なし・管理なしの無い無い尽くしの組織態である。おまけに必要な機能を削除して、日々の活動を行う片肺飛行機でもある。さらに1人3役・4役の兼業制を敷いて業務をこなす労をいとわない集団でもある。

《2.会社は人間動物園である》
会社は人間動物園であり、潰れるように出来ている。

スポーツ、趣味の世界等、色々な組織の特徴は『価値観が似ている人』が集まる。例えば、草野球の仲間で今度キャンプをしようかと話せば直ぐに話はまとまる。
しかし、会社は『価値観・育った環境・年代・性別等の違う人達』が集まり、組織を作る特徴を持つ。
だから、『明確に会社組織を統一させる意図を企てない』と組織として機能しない。つまり、放りっぱなしの状態ならば確実に崩壊するように出来ている。
動物の集団である動物園は自然の共生に基づいて、生きていくが、人間が動物園状態になれば『自分の生産性は忘れ、やれ評価が低いだの・・』『誰々さんと合わないだの・・』『誰々さんは好き勝手にやっているとか・・』野放図状態になっている会社が多い。
つまり、会社は『何もしなければうまく回らない事』を前提に会社運営方法を考える方が上手くいく。

《3.獣道では危険が多すぎる中小企業の生い立ち》
中小企業はその生い立ちから観るに、生きていく為に必死で、商品・顧客は自然発生的に出来上がって行く。その為、ある一定規模まで成長すると『曼荼羅模様を呈し、八方塞の状態になる事』がある。
この混沌とした状況は生き伸びて行く事を最優先した結果で、最初から体系的に論理的に商品・顧客構成などできるわけがないし、またその必要もない。しかし、業績が安定期に入りつつある状態になれば、企業規模も10人、30人と大きくなる。そこで必要となるのが“道”の整備であり、これこそが『企業基盤のインフラ整備』である。

この中小企業は当たり前の事が当たり前のように出来ない。しかし私は『今、出来ないからダメではなく、むしろ今後の伸びしろがあるから楽しみ』あると考える。
客観的に考えたら、『当たり前の事が出来ないから経営基盤が出来ない』事も一理あるし、『経営基盤がないから、当たり前の事が出来ない』事にも一理ある。

《4.経営者の3ずの執念だけでは限界がある》
では何故、当たり前の事が出来ないのか?
それは能力がないから出来ないのではなく、今までやった事がなかったり、やり方が解らず今は出来ていなかったり、習慣化されていなかったり、学習能力の差だけである。基礎的な能力が劣る中小企業人間集団の成長レベルを上げる為には『企業基盤の環境を創る事が早道』である。
創業して顧客・商品が少し出来上がるまでは社長の頑張リズムを中心になんとかなる。強烈な個性・姿勢で当たり前の事が出来ない少人数集団をまとめあげる。しかし、企業が安定期になり、社員が増え始めると経営基盤がないと『統一体としての力』が発揮出来にくい。そうなると規模の拡大がもたらすプレゼントはリスクのみとなる。

つまり、経営基盤をつくるとは中小企業の弱点である『やり方がバラバラ』・『ノウハウが会社にない属人化』・『特定の人に依存するマンパワー化』・『決めた事が継続しない』等を解決していく事である。つまり、多くの社員にとって、当たり前の事が出来やすい環境をつくる事になるのである。

当たり前の事をやらせる事は単純作業であるが故に、経営者の飽きず・空かず・諦めずの『3ずの執念』が必要になる。経営者が若くて体力・気力も充実し、将来展望も明るい会社ならよい。しかし20年、30年と中小企業の経営に携わり、定着させようと努力するが、変化がなければ気力も萎えてくる。
人なし・金なし・物なし・管理なしの中小企業はどうしても『その場の思いつきで』で対応しようとするから上手くいかない。

《5.経営の基盤とは》
企業の基盤をつくる事を経営の技術と呼んでいる。経営の技術とは利益を叩き出していく為のルールと基準そしてシステムを創る事である。
多くの中小企業は会社の土壌が整備されていないのに、成長ばかり考えるから身の丈合わずの経営になる。身の丈は伸びもするし、縮みもする。
身の丈に合った経営の技術とは先ず、『我が身の丈』を自分達で考える事である。
そして、その身の丈に合った経営基盤を構築すればよい。
外部環境の影響をもろに受ける中小企業は経営の技術を構築しなければ『社長のやる気=頑張リズムだけ』では続かない。つまり、思い付きの経営から脱皮し、利益を叩き出していく行く為のルールと基準そしてシステムを創る事が経営の技術である。
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